与党・税制改正大綱決定!

日々の出来事

 自民、日本維新の会の両党が、去る19日、「令和8年度税制改正大綱(以下「大綱」といいます。)」を決定しました。
 令和8年度税制改正においては、
① 物価高への対応
②「強い経済」の実現に向けた対応
③ 地方の伸びしろの活用・暮らしの安定
④ 公平かつ円滑な納税のための環境整備
⑤ 自動車関係諸税の総合的な見直し
⑥ 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置
を柱として、様々な改正が盛り込まれています。

 大綱(令和8年度与党税制改正大綱)は、改正の基本的考え方から、国税(関税を含みます。)および地方税の全税目に関する改正事項、さらに来年度以降に向けた検討事項まで言及しており、全体で約150ページに及ぶ膨大な内容となっています。
 本稿では、そのすべてを取り上げることはできませんが、令和8年度税制改正のうち、特に重要と思われるポイントを整理します。

Ⅰ 物価高への対応(いわゆる「年収の壁」)
⑴ 物価上昇に連動して、基礎控除等を引き上げる仕組みを創設
 ・ 令和8・9年分所得税
   基礎控除:58万円 → 62万円
   給与所得控除最低保障額:65万円 → 69万円
 ・ 控除額は、消費者物価指数(CPI)に基づき、2年ごとに定期調整
 ➡ これまでの「政治判断による控除改正」から、自動調整型税制へ転換した点が画期的です。

⑵ 中低所得者層に配慮し、基礎控除の上乗せを幅広く実施(時限措置)
 ➡ 給与所得者の約8割が恩恵を受け、全納税者について所得税負担が生じる水準は178万円以上となります。

Ⅱ「強い経済」の実現に向けた対応
⑴ 大胆な設備投資促進税制
  全業種を対象に、過去最大規模の設備投資減税を実施
 ・ 大規模・高付加価値の投資について、即時償却 または 税額控除(原則7%、建物等は4%)
 ・ 認定を受けた場合、最大3年間の税額控除の繰越が可能
 ➡ 国内投資・供給力強化を狙った「攻めの税制」です。

⑵ 研究開発・賃上げ関連税制の見直し
 研究開発税制に「戦略技術領域型(AI・量子等)」を創設
 → 別枠で 40%の税額控除
 賃上げ促進税制は
・ 大企業:廃止
・ 中堅企業:要件を強化して継続(将来廃止予定)
・ 中小企業:当面、現行制度を維持

⑶ 住宅ローン控除の拡充
 中古住宅の取得支援を強化、子育て世帯への上乗せ措置や床面積要件の緩和をした上で、適用期限を5年延長(令和12年12月31日まで)

⑷ 資産形成の支援(NISA)
・ 子供向け非課税枠を設定(年間60万円、非課税保有限度額600万円)
・ 国内株式指数を対象商品に追加
➡ 家計金融資産を国内成長投資へ誘導。

Ⅲ 税負担の公平性の確保
⑴  いわゆる「1億円の壁」への対応として、極めて高い所得に対する負担を見直し
・ 税率:22.5% → 30%
・ 控除額:3.3億円 → 1.65億円
・ 適用開始:令和9年分所得税
➡ 再分配機能の回復を明確に意識した改正。

⑵ 国境を越えた電子商取引について
 国内外事業者間の公平性を確保するため消費税の適正化(少額輸入貨物の免税制度を見直し)

Ⅳ その他の主な改正点
⑴ インボイス制度に伴う経過措置
  いわゆる「2割特例」については、個人事業者に限り、納税額を売上税額の3割とする措置とした上で、2年間延長(令和9・10年分)

  いわゆる「8割控除」の仕組みについては、期限を延長しつつ、引下げペース・幅を緩和
 〔令和8年10月~〕  7割
 〔令和10年10月~〕  5割
 〔令和12年10月~〕  3割
 〔令和13年9月末〕   適用終了

⑵ ひとり親控除の拡充
 ・ 所得税:35万円 → 38万円
 ・ 住民税:30万円 → 33万円

⑶ 国際観光旅客税
 ・ 1,000円 → 3,000円(オーバーツーリズム対策等の財源)

大綱について
 今回の大綱は、「物価高を前提とした税制への転換」と「投資・賃上げを行う人や企業を重点的に支援する姿勢」をより明確にした点が大きな特徴だと言えます。
 具体的な改正内容については、今後、国会に提出される法案や、その後に公布される政省令・通達等を確認する必要があります。
 適用や実務上の判断にあたっては、引き続き留意が必要です。

 今後も、必要に応じて解説していきたいと考えています。

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